
身近な食材で、さまざまな料理に使える【にんにく】ですが、漢字で書くとどう書くのでしょうか?
スマホなどで変換すると「大蒜」「葫」「忍辱」なんて出てきますね。
「あの~、その漢字、全くニンニクとは読めないんですけど。」
それとにんにくの漢字を「人肉」と書くことがあるのか?も気になるところ。
これらの漢字の読み方もそうですが、にんにくには漢字にまつわる不思議がいっぱいです。
どうしてこの漢字がにんにくを指すものとして使われるようになったのでしょうか?

まずはにんにくの植物分類を知っておこう
にんにくの漢字表記の由来を理解する前に、まずはにんにくがどんな植物に分類されているのかを知っておくと、当てられた漢字の意味も分かりやすくなりますので、まずは分類を。
にんにくは「ユリ科ネギ属」の多年草です。ネギの系統なんですね。
ユリ科ネギ属の仲間には、アサツキ、ノビル、らっきょう、ニラなどがあります。
この写真、「ノビル」というのは、小型のにんにくといった感じで、葉や根茎を食べることができます。
この「ノビル」を漢字で書くと「野蒜」で、別名「小蒜(こびる)」とも呼ばれます。
にんにくの漢字【大蒜】との関連性が感じられますね。

にんにくの漢字【大蒜・葫・忍辱】の由来は?
現在の日本ではこの植物を「にんにく」と呼んでいますが、にんにくが日本に伝来した当初から「にんにく」だったわけではありません。
日本ににんにくを伝えた国である中国では、にんにくのことを【大蒜(タースアン)】と言い、【葫(コ)】とも呼ばれていました。
ですので、古代日本では、にんにくのことを蒜(ひる)または大蒜(おおびる)と呼んでいました。
平安時代に編纂された日本最古の辞書『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』には「大蒜、和名 於保比留(おおひる)、今、俗に仁牟仁久(にんにく)と呼ぶ」と記されています。
このころの日本では、オオヒルが正式名称で、ニンニクは俗称だったようですね。
仏教の影響力でにんにくは【忍辱】に?
ヒルという呼び名がすたれ、ニンニクが一般的になったのは、鎌倉時代以降に仏教が全国に広まったことが影響しています。
仏教用語に「忍辱(にんにく)」という言葉があります。
- 仏教では精力のつくヒルは不浄のものとして食用禁止としているが、これに従うこと自体が修行だ=忍辱である。
- 禁止されていたヒルを、僧侶がこっそり食べていたので、ヒルのことを隠語で「忍辱」と呼んでいた。
このように諸説ありますが、ヒルの持つ独特の臭気や滋養強壮効果が、修行という意味の【忍辱(にんにく)】のイメージとピッタリはまったのでしょう。
だからヒルのことを忍辱と書き、にんにくと呼ぶようになったようです。
大蒜・・・おおびる
葫・・・・こ
忍辱・・・にんにく
にんにくを漢字で書くと【人肉】!?
まさか、にんにくのルーツが本当に人肉だと思う方はいらっしゃらないと思います。
もちろん、にんにくと人肉は無関係です。
街の個人経営の八百屋さんやスーパーの手書きPOP(値札)で「人肉」をたま~に見かけるので、それが広まっただけでしょう。
昔ながらの八百屋さんだと、書きにくいとか、読みやすいとか、いろいろな理由で野菜に当て字を使って値札を書いていることがありますよね。
にんにく=人肉 以外にも、
- はくさい=白才
- きゃべつ=キャ別
- ピーマン=ピー万
とか・・・

にんにくの漢字・由来 まとめ
にんにくを漢字で書く時、「大蒜」「葫」「忍辱」となる由来には諸説ありますが、代表的なものをご紹介しました。
「忍辱」は、仏教用語が由来で、「にんにく」と読む。
にんにくを漢字で表現できるというのもちょっと驚きですが、その由来についても、長い歴史を感じます。
昔から世界中で愛され続けている食材だということが分かりますね。
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